フォイエルバッハ全集第一巻 船山信一訳 福村出版刊

初期哲学論集

理性にかんして
 - それの単一性・一般性・無制限性

 - 哲学博士の学位を取得するための論文 – 一八二八年 –

 平凡な経験的意識によってヘーゲル哲学を通俗化し、非哲学化した論文である。この著作を研究しても哲学的な知に近づく事はできない。
 フォイエルバッハによってヘーゲルを理解することはできない。ヘーゲルを理解すればフォイエルバッハの通俗性と非哲学性を理解することができる。
 唯物論者はフォイエルバッハを高く評価している。だから、この著作の具体的批判はしないが、こうした注意をしておくことに意義があるだろう。具体的な批判はヘーゲル理解によってのみできる。フォイエルバッハを批判することによってフォイエルバッハを理解することはできない。

へーゲルあての書簡
 - アンスパッハにて – 一八二八年十一月二十二日 – (p83)

 「私は身勝手にも貴下に私の論文〔『理性にかんして–それの単一性・一般性・無制限性』〕を御送りします。」

 とある。フォイエルバッハは『理性にかんして–それの単一性・一般性・無制限性』をヘーゲルに送った。ヘーゲルは、自分の哲学を何一つ理解していないこの論文を読んだだろうか。
 この書簡にも哲学的な意義はない。

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